人事に活かせる心理学【単純接触効果、バーナム効果…etc】
「人がどう思うか、どんな印象を抱くのか」というのが非常に重要になる人事活動。
今回はそんな人事活動を行う上で是非とも知っておきたい心理学を、いくつかピックアップして基本編と応用編に分けてご紹介します。参考になるものがあれば是非取り入れてみてください。
目次
- 人事に活かせる心理学【基本編】
1-1.単純接触効果(たんじゅんせっしょくこうか)
1-2.バーナム効果 - 人事に活かせる心理学【応用編】
2-1.返報性(へんぽうせい)の原理
2-2.両面提示(りょうめんていじ) - まとめ
人事に活かせる心理学【基本編】
単純接触効果(たんじゅんせっしょくこうか)
「単純接触効果」はその名の通り、繰り返し接すると好意度や印象が高まるという効果のことです。1968年にアメリカの心理学者ロバート・ザイアンスにより提唱されました。
営業活動で例えると「毎回クライアントと濃密な時間を過ごす」というより、「まずは何回も会って印象を高める」という営業方法が、単純接触効果を活かした良いアプローチだと言えます。
ちなみに回数はとにかく多いほうがよいというわけではなく、10回辺りがピークとなりそれ以上は特に印象に影響を与えないそうです。
また、直接会うだけでなく、電話やメール、SNS、求人サイトからのアプローチでも単純接触効果は発揮されます。
例えば、求職者がある求人を「求人サイト」「SNS」「企業説明会」でそれぞれ1回ずつ見かけたとします。すると、求職者がその求人に対してよい印象をもつ可能性は、求人を見かけた回数に応じて高まります。
だからこそ、複数の媒体での求人展開は効果的だと言えます。求職者が自然と「この会社、よく見かけるから何だか気になるな。応募してみようかな…」と思うようになれば、単純接触効果を上手く活かすことができたと言えるでしょう。
バーナム効果
「バーナム効果」は、占いなどで個人を診断する際に、誰にでも当てはまるような曖昧で一般的なことを、自分だけに当てはまることだと捉えてしまう心理学の現象を言い、1956年にアメリカのポール・ミールによって提唱されました。
例えば会社説明会で、初めて話す求職者に対して「○○さんはもしかして、本当に自分に合う会社が見つかるかどうか不安に思っていませんか?」という質問をした場合を考えてみます。
それに対して、求職者は「はい…実はいろいろ仕事探しの方法は工夫しているんですが、行き詰まっていて」と、心を開き自身のことを話してくれる可能性は高くなります。
これは、そもそも「会社説明会に行く」という他の仕事探しの方法に比べてややハードルが高いアクションを行う求職者は、それだけ現状に問題意識があり、求職活動の進め方自体に迷っていることが多いためです。
つまり、「自分に合う会社が見つかるかどうか不安に思っていませんか?」という質問は、どの来場者に対しても当てはまる可能性が高いということになります。
しかし、質問された当人はそれを「自分だけに当てはまること」として受け取り、質問者に対して「自分のことをわかってくれる良い人」という印象を抱いてくれやすくなります。
このように、会話の中で自然にその状況で誰にでも当てはまる内容を質問することで、相手との信頼関係を早い段階で築きやすくなるということになります。
人事に活かせる心理学【応用編】
返報性(へんぽうせい)の原理
「返報性の原理」とは、1985年にアメリカの社会心理学者であるロバート・B・チャルディーニが自身の著書で提唱した法則で、人に何か良いことをしてもらった時、自分も相手に何かしてあげたいという気持ちになる現象のことを言います。
一例として、面接で応募者に対してどんな言葉をかけるのがよいかを考えてみます。
「今回は営業職に応募してくれたんだね。〇〇さんは営業の経験がないみたいだけど大丈夫そうかな?」…このような質問の仕方でも問題はなさそうです。
では、以下のようにもう少し工夫してみるのはどうでしょうか。
「○○さんは営業の経験がないみたいだけど、実は僕も営業経験ゼロで入社したんだよ。やっぱり最初は思い通りに行かずに苦労したよ…。僕は実務の中で営業のコツを身に着けていったけど、〇〇さんも同じように実際に仕事をしながら覚えていけそうかな?」
このように、先に自分の本音を伝えることは「自己開示(じこかいじ)」と言い、自己開示をされた応募者側は「自己開示をしてもらえた」ということを一種の恩のように感じて、「自分も何か与えたい」という気持ちになります。
そして、応募者が「実は営業経験なしでもちゃんとやっていけるかどうか不安で…」というように、自己開示をしてくれる可能性が高くなり、本音でのコミュニケーションにより応募後のミスマッチが起こる可能性が低くなります。
「相手に良いことをしてもらったら、自分も良いことをする」という順番ではなく「先に自分が良いことをして、後から相手に良いことをしてもらえるようにする」ということを常に意識しておくと良さそうですね。
両面提示(りょうめんていじ)
「両面提示」とは、物事のメリットとデメリットの両方を伝えることで信頼感を得られやすくなるという内容の、1949年にアメリカの心理学者カール・ホブランドにより提唱された法則です。
先程のように営業職の面接を例にあげると、「契約が取れたときの喜びは大きい」「なかなか契約が取れない時が大変」というメリット・デメリットの両方を応募者に伝えることが両面提示となり、これによって誠実な印象を与え、信頼感を抱いてもらいやすくなります。
ただし、両面提示で一つ注意したい点が「デメリットが強調されすぎると逆効果になってしまう可能性がある」ということです。
それを防ぐためには、メリットに対してデメリットの割合が少なくなるように話を展開することが効果的です。また、人間は最後に聞いた情報の方が印象残りやすいという性質があるため、先にデメリットを話して後からメリットを話すという順番にした方が良い印象を与えやすくなります。
まとめ
ここまで、人事活動に活かせる心理学についてご紹介してきました。
まとめると、
・繰り返し接すると好意度や印象が高まる「単純接触効果」
・誰にでも当てはまる一般的なことを自分だけに当てはまる事だと捉える「バーナム効果」
・何か良いことをしてもらった時、自分も何かしてあげたいという気持ちになる「返報性の法則」
・物事のメリットとデメリットの両方を伝えることで信頼感を得やすくなる「両面提示」
…これらをうまく活用することで、より良い人事活動ができると言えます。
当コラムが人事活動について考える上での参考になれば幸いです。
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ライター:井上