今さら聞けない 有効求人倍率と完全失業率とは?

今回は、採用や人事に関わるなら知っておきたい「有効求人倍率」と「完全失業率」の意味や計算式、その他関連用語について解説します。

目次

  1. 有効求人倍率とは
     1-1.なぜ「有効」なのか?
     1-2.計算方法
  2. 完全失業率とは
     2-1.計算方法
  3. その他関連用語解説
     3-1.労働力人口とは
     3-2.完全失業者とは
     3-3.就業者・従業者・休業者とは
     3-4.非労働力人口とは
  4. まとめ


有効求人倍率とは

求人倍率とは、求職者1人に対する求人数の割合を指す経済指標のことです。その中でも、全国の公共職業安定所(ハローワーク)のデータから算出されているのが有効求人倍率です。厚生労働省が報道発表資料の「一般職業紹介状況について」で毎月公表しています。

求職者10人に対して15の求人があれば有効求人倍率は1.5倍、同じ人数に対して8の求人しかなければ0.8倍となります。

1以上の数が算出されている場合は人手不足の企業が多く、売り手市場と言われる状況です。求職者からすれば非常に就職しやすい環境となります。逆に、1を下回る場合は求職者に対して十分な求人がなく、買い手市場となります。

景気に応じて上下する数字なので、経済状況を知るための指針とされています。



なぜ「有効」なのか?

ハローワークのデータから算出する数値の「有効」は、求職者・求人の「有効期間」のことです。求職者・求人が登録されている期間を指し、これは2ヶ月間と定められています。求職者は職業相談や職業紹介を受ける、企業側は手続きを行うことで期間の更新をすることができます。

更新手続きを行わなければ登録が削除されてしまうので、就職活動を続けている、あるいはまだ人手を求めていても、期間を過ぎたらこの数字には反映されなくなります。

ちなみに、有効求人倍率はハローワークを通したもののみの数字になるので、求人サイトや情報誌などの数字は含まれません。また、正規・非正規雇用、派遣・契約社員の区別をしていないので、さまざまな雇用形態が数に含まれています。



計算方法

有効求人倍率 = 有効求人数 ÷ 有効求職者数

前述した例でいえば、「15件の求人÷10人の求職者」「8件の求人÷10人の求職者」となります。



完全失業率とは

完全失業率とは、労働力人口(15歳以上で働く意欲がある人たち)のなかで、完全失業者が占める割合のことです。完全失業者とは、現在職がない、あるいは求職活動中の人を指します。

このパーセンテージが大きいほど、働ける人の数に対して実際に労働している人数が少ないことになります。

完全失業率も、有効求人倍率同様、厚生労働省が毎月発表しています。



計算方法

完全失業率 = (完全失業者 ÷ 労働力人口) × 100

労働者として認められた人口が1,000人で、そのうち失業者が35人いたとしたら「(35人の失業者÷労働人口1,000人)×100」で「完全失業率3.5%」となります。



その他用語解説

どんな人が労働力人口に含まれるのか?完全失業率という言葉と一緒に表記されることが多い用語と合わせて、なるべく簡単に説明いたします。



労働力人口とは

15歳以上で、労働が可能な能力と働く意欲を持つ人たちの数を指します。

この中には現在職についていない「完全失業者」と、何らかの仕事によって収入を得ている「就業者」が含まれます。



完全失業者とは

以下3つの条件を満たした、現在労働をしていない人を指します。

1.現在仕事をしていない。
2.働き口があればすぐに労働することができる。
3.就職活動をしている、あるいはそれによる結果を待っている状態である。

ここで言う「仕事」とは正社員や特定の職業ではなく、収入が得られる労働を指します。単発のアルバイトや内職なども、収入があれば「仕事」に含まれるので、これらを行っている人は完全失業者には当てはまりません。

また、働く意欲があっても病気やケガなどで「すぐに労働すること」ができない場合も、完全失業者の数には入りません。



就業者・従業者・休業者とは

就業者とは、従業者と休業者を合わせた人たちのことです。

まず従業者とは、収入が伴う労働をした人、つまり仕事をした人を指します。学生のアルバイトや内職などもこの範疇です。労働力調査においては、調査期間中に1時間以上の仕事をした者としています。

無給の場合でも、事業を手伝う個人事業主の家族などは就業者に含まれます。「家族で農家や商店をやっていて、みんなで働いて管理しています」といった場合ですね。こういった人を家族従業者といいます。

一方の休業者は、仕事をしていない人のうち、以下2つの条件に当てはまる人を指します。

1.出産・育児・介護休暇などで、仕事はしていないが収入を得られる状態にある。
2.自営業主で、仕事を休み始めてから30日が経っていない。

基本的には、「求職活動の必要はないけれど、今は実務をしていない」という人が該当します。ですが、前述した家族従業者が休職している場合は例外で、現在職がないとする「完全失業者」か、後述する「非労働力人口」に含まれます。



非労働力人口とは

非労働力人口とは、15歳以上で「就業者」でも「完全失業者」でもない人の数です。

具体的に言うと、「アルバイトをしていない学生」「専業主婦・主夫」「退職後の高齢者」「病気やケガなどで働けず、療養中の者」「ふだんは無給で家業を手伝っているが、現在はそれをお休みしている人」などです。

別にやるべきことがある、あるいは働きたくてもできない、といったさまざまな事情により、給与を得る「働き手」としてカウントしないことになります。



まとめ

職を求める人に対して求人がどれほどあるかを示した有効求人倍数。働ける人のうちどの程度の人数が職を持っていないのかを表す完全失業率。そしてそれに関わる関連用語を解説しました。

それぞれの用語の定義や比率を正しく理解することで、求職者のニーズや景気などを知ることができます。

すべての用語をばっちり知っていた方にも、実はあいまいな用語があったという方にも、改めて定義を見直すきっかけとなっていれば幸いです。



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ライター:野倉