テレワークとモチベーション|すぐに使える「エンパワメント」とは?

当コラムでは以前にもテレワークに関するテーマをいくつか取り上げてご紹介してきました。

よければ以下の記事もあわせてご参照ください。
・データで見る|テレワーク(リモートワーク)の実施状況とその課題
・失敗には理由がある!テレワーク成功のコツ

ところで、テレワークを行う企業も増えてきた昨今、テレワークの導入は社員のモチベーションにどのように影響しているのでしょうか。

今回はテレワークとモチベーションの関係性について詳しくご紹介したいと思います。

目次

  1. テレワークによるモチベーションの変化
  2. モチベーションに影響する要素
  3. エンパワメントによるモチベーションの向上
  4. まとめ



テレワークによるモチベーションの変化

テレワークとモチベーションの関係性をご紹介するに当たり、株式会社リクルートによるアンケートを参考にお話をしたいと思います。※全国の新型コロナウイルス禍でテレワークをするようになった20~60代を対象にしたアンケート

以下画像は株式会社リクルートのホームページより引用
URL:https://bit.ly/3pSX5eb

このアンケート結果を見ると、テレワークを行う前では「働くモチベーションが高い」と回答したのは、「非常に高い」と「やや高い」を合わせた26.6%で、テレワークを行った後では25.9%と0.6%のわずかな差がありました。

また、テレワークを行う前に「働くモチベーションが低い」と回答したのは、「やや低い」と「非常に低い」を合わせた14.1%で、テレワークを行った後では22.5%になり、8.4%も増加しています。

これらの結果から、全体としてはテレワークを行った後の方が働くモチベーションが少し下がる傾向にあるようです。

では、具体的にどのような要素がモチベーションの低下を招いているのでしょうか。次の章から詳しく見ていきます。



モチベーションに影響する要素

現在もテレワークを行っている人を対象に、モチベーションに影響する要素を調査した結果は以下の通りになっています。

画像は株式会社リクルートのホームページより引用
URL:https://bit.ly/3pSX5eb

まず注目したいのが「上司や同僚からのフィードバック」で、テレワーク前の51.5%がテレワーク後は35.9%になり、15.6%も下がっています。

上司や同僚からのフィードバックを受けて、「自分が何をどう直したらいいのか」というのが確認できないテレワークの環境だと、モチベーションの維持が難しいのかもしれませんね。

この点については、チャットツールやWEB会議ツールを活用して、テレワークでもしっかりとフィードバックを含むコミュニケーションを取ることで改善できそうです。

※チャットツール…短いメッセージのやりとり(チャット)を行うためのツール
※WEB会議ツール…ビデオ通話にチャットや画面の共有などの機能を加えたツール。ZOOM(ズーム)などが有名


さて、次に注目したいのが「仕事の重要性の実感」で、テレワーク前の65.7%がテレワーク後は52.4%となっていて、こちらも13.2%の減少となっています。

テレワークで仕事の重要性の実感が低下したのは次のような原因が考えられます

例えば、テレワークで行う業務は個人情報保護の観点から、クライアントのデータを直接扱う仕事より、クライアントのデータを直接扱わない仕事の方が多くなる傾向があると考えられます。

クライアントのデータを扱う仕事は、一般に「重要性が高い」という印象を社員に与えやすく、逆にクライアントデータを扱わない仕事が多くなると、自分の仕事は重要性が低いという印象を抱かせてしまうのかもしれません。

そのような状況を改善するには、クライアントのデータを扱う仕事のまずは一部分だけでも、テレワークをしている社員にも任せるなどの工夫をするのも一案だと言えます。

また、実際に社員が「仕事の重要性が実感しにくいと感じているかもしれない」という場合には、個人ごとにその原因というのは様々である可能性も高いので、社員に直接アンケートをとってその根本的な原因を探るのも有効だと言えます。



エンパワメントによるモチベーションの向上

さて、前章ではテレワークを行った後のモチベーションの変化に関する個々のデータと、それを改善するために有効な手段をご紹介してきました。

この章では、テレワーク下の課題全般に対して有力なアプローチとなる「エンパワメント」についてご紹介したいと思います。

エンパワメント(empowerment)とは、直訳で「権限を与えること」を意味し、ビジネスの場では「組織のメンバーに自発的に行動する力を与えること」を指します。

モチベーションの向上を実現するには、この「エンパワメント」を意識しながら仕事を割り振っていくことが非常に重要になっていきます。

具体的なアクションとしては、まず企業が目指すビジョンを社員間で共有して、各社員の特性に合わせた適切な仕事を割り振ることが大切です。

各自の特性にしっかり合った仕事を割り振ることで、社員が自発的に無理のない範囲で仕事をやり切るための努力をすることができます。

すると、自発的に努力した結果、割り当てられた仕事をやり切ったという成功体験を得ることができ、さらに自発的に行動できるようになるという好循環が生まれます。

このように、社員が自発的に努力できるような環境づくりをして、後はそのサポートに徹することで「エンパワメント」を実現し、社員のモチベーションを上げることが可能になります。



まとめ

ここまで、テレワークとモチベーションの関係性と、モチベーション向上のコツについてご紹介してきました。

まとめると、
テレワークを導入後に「上司や同僚からのフィードバックが得られにくい」「仕事の重要性が実感しにくい」と感じる人もいるようですが、チャットツールやWeb会議ツールを活用して密にコミュニケーションを取ることや、どんな事を課題として感じているかアンケートを取る方法などを駆使することで状況は前向きに変えられそうです。

さらに、社員の自発性が発揮できるような環境づくりを行うという「エンパワメント」を実施することで、よりモチベーションを高められると期待できそうです。

当コラムがテレワーク下で社員のモチベーションを上げる際の参考になれば嬉しいです。

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ライター:井上