人材ポートフォリオとは?目的と作り方をわかりやすく解説

人材ポートフォリオという言葉、人事担当者の中には「聞いたことがある」あるいは「知ってはいるが作り方がわからない」といった状況の方もいるかもしれません。

そもそもポートフォリオとは、書類入れや書類を入れる鞄・ケースといった意味になります。書類を個別に扱うのではなく、全体を一つとしてまとめたものといったニュアンスです。

また、金融業界にもポートフォリオと呼ばれる考え方があり、運用する金融資産の組み合わせを指します。

では人材のポートフォリオとはどういったものなのでしょうか。

目次

  1. 人材ポートフォリオとは?
  2. 人材ポートフォリオの目的やメリット・デメリット
     2-1.メリット
     2-2.デメリット
  3. 誰でも簡単に人材ポートフォリオの設計
     3-1.作成の手順やポイント
     3-2.人材ポートフォリオ作成の注意点
  4. まとめ


人材ポートフォリオとは?

人材ポートフォリオとは、一言で言うと「適材適所に人を配置するための手法」です。

事業計画を達成するためには、どんな能力を持った人材が、どの部署・部門に、どのタイミングで、何人必要になるか、そういったことをまとめる必要があります。



人材ポートフォリオの目的やメリット・デメリット

人材ポートフォリオを作る目的は、事業計画が達成できるように社内に保有する人材を資産としてとらえ可視化し、戦略的な人材マネジメントを生み出すことにあります。社内にいる人の数や能力などをまとめることで、部門・部署ごとの過不足や必要数なども把握でき、採用・育成・配置・評価といった人事的なマネジメント全般に役立ちます。



メリット

目的達成のために適した人材配置に役立つ
人材や能力を把握することで、クリエイティブやマネジメントなど、各業務に必要な人数などが分かり、適材適所な配置がしやすくなります。さらに、部署や部門における人材の過不足もわかるため、今後の採用や育成といった人事計画にも活用できます。

従業員にキャリアパスを示しやすい
一人一人の得手不得手を把握し適した配置や業務を与えることで、今後どう成長しどんな道に進めるのかわかりやすくなります。また、それぞれの能力に合わせたアドバイスやサポートもできるようになるので、従業員のモチベーションの維持にも役立てられます。



デメリット

作成する際の負担
不十分な分析結果をもとに設計された人材ポートフォリオでは、欲しい成果が得られないだけではなく、生産性の低下や不満の増加といったリスクを引き起こす可能性が考えられます。時間と手間を惜しまず、できる限り適切な分析をして、正しい成果が得られるようにすることが大切です。



誰でも簡単に人材ポートフォリオの設計

人材ポートフォリオを作るにあたって、どんな点に注意し設計・分析していけばよいのでしょうか。会社に応じた独自のものを作る必要があるため、ここではわかりやすく一般的な流れでご説明します。



作成の手順やポイント

①事業目標達成のために必要な2本の軸を決定する

多くの場合仕事は、

個人の裁量で進める or チームで話し合って進める

0から1を生み出す(創造) or 1を大きくする(運用)

といった分け方ができます。

そのため以下のような軸が一般的です。

その他にも常時雇用と臨時雇用や繁忙期と閑散期、専門性の高さなどの分け方が考えられます。自社の状況を分析しながら、重要となる軸を決定してください。

②分類を具体的に定義する

先に挙げたそれぞれの分類には、

・クリエイティブ→創造性を要する業務に携わる人材
・マネジメント→管理や経営にかかわる人材
・オペレーション→ルールやマニュアルなどの仕組みによって業務を遂行する人材
・エキスパート→ある分野において専門的なスキルや能力を有する人材

といった定義ができます。

ただ、業種によっても定義は違ってくるので、自社に合わせた定義が必要です。

③人材を当てはめていく

保有する人材を分類に当てはめていきます。

その際にはできるだけ客観的なデータを参照することが望ましく、正しいデータを採るために、SPIなどの適性検査を実施することも検討しましょう。

特に、社員データベースなどのシステムで管理できるような項目であれば作業の負担も軽くなりますが、能力や適性のように決まった形での管理が難しい場合は注意が必要です。

例えば、制作部→クリエイティブのように所属部署であれば比較的簡単に分類できますが、一人で黙々と作業を進めるのが得意、人に教えるのが得意といったスキルや適性は人材をよく把握していないといけないため注意が必要です。

④理想の人事と比較する

人材を当てはめた分類と理想を比較検討します。ここで課題を洗い出すことが大切です。配置や人数をはじめとして、手を加える必要がある課題やその部署などが明確になるように心がけてください。

例えば、

・コーダーやデザイナーなど実業務をこなす人材に対して、プロジェクト全体をコントロールするマネージャーやリーダーが不足している。

・管理職の平均年齢が高く、今のままだと10年後、20年後に管理職は人材不足となる可能性がある。

といった具合です。

⑤課題をもとに対策を練る

理想に近づけるためにどうしたらよいのかを考えます。配置換えで済むのか、中途採用が必要か、雇用形態はバイト・契約社員・正社員のどれがいいか、人事評価は見直したほうが良いか、研修内容に変更や追加が必要かなど、課題に応じた手段を検討してみてください。



人材ポートフォリオ作成の注意点

・ただの人材評価ではないので、分類を順位や優劣としてみないこと。
・現状をきちんと把握できるように、雇用形態を問わず全従業員を対象とすること。
・企業目標が達成できるように、経営戦略も反映させること。
・従業員の意思も考慮したうえで設計し、会社側が一方的にキャリアや分類を決めないこと。

以上の点に注意するとともに、正しい運用ができるよう事前シミュレーションや説明を欠かさず行うことが理想的です。



まとめ

人材ポートフォリオとは、社内の人事を適切なものにして事業計画の達成を目指す手法です。適材適所への配置が容易となり、従業員にキャリアアップの道も示しやすくなります。

自社に合わせた人材ポートフォリオの作成が望ましく、①軸を決める→②分類を決める→③分類に当てはめる→④課題を洗い出す→⑤対策を練るといった手順で作成できます。

正確な人材ポートフォリオの作成には手間も時間も要しますが、それだけにリターンも大きいので1度社内で検討し、作成してみることをおすすめします。



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ライター:彦坂