雇用保険法改定 2025年4月までに適用される内容を解説
本日、2021年(令和3年)4月1日から2025年(令和7年)の4月1日にかけて、採用や人事に関わる法律の一部が改正・適用されます。採用や、それにまつわる情報の開示にも関わってくるものです。
今回は、雇用保険の改正内容について、一部の内容をご紹介します。
目次
- 2021年4月1日から適用される法律
1-1.70歳までの就業機会を確保
1-2.中途採用比率の公表を義務化
1-3.雇用保険二事業に係る保険料率の引き下げ - 2022年1月1日から適用される法律
2-1.複数の企業で働く65歳以上の人に雇用保険を適用 - 2025年4月1日から適用される法律
3-1.高年齢雇用継続給付の縮小 - まとめ
2021年4月1日から適用される法律
施行されるのは、「雇用保険法」「高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)」「労災保険法(労働者災害補償保険法)」などです。
目的は、高齢者や複数の仕事をしている人などに対して、安定して働ける環境や機会を設けること。そして、財政運営の見直しを行うことで、失業者や育児休暇取得者などへの給付がきちんと施行されるようにすることです。
70歳までの就業機会を確保
厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要」より引用 https://www.mhlw.go.jp/content/000591657.pdf
高齢者でも働けるように、という措置です。
改正前の定年は65歳ですが、これを70歳まで引き上げたり、定年そのものをなくしたり、という対応で70歳までの人の就労を支援するよう努力しなければならないという内容になります。
「努力義務」なので、絶対に従わなければいけないというものではありません。また、施行されたときからいきなり対応する必要もなく、段階的な措置をとる形でも問題ありませんし、特にペナルティが課されることもありません。
中途採用比率の公表を義務化
厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要」より引用
https://www.mhlw.go.jp/content/000591657.pdf
中途採用を増やすために、大企業は中途採用における実績をホームページ・サイトなどで発表する義務があります。
この「大企業」に中小企業は含まれません。大企業の定義付けはされていませんが、中小企業は以下のように定められています。
【中小企業の定義】
卸売業→ 資本金や出資総額1億円以下 or 常に使用する従業員数100人以下
サービス業→ 資本金や出資総額5,000万円以下 or 常に使用する従業員数100人以下
小売業→ 資本金や出資総額5,000万円以下 or 常に使用する従業員数50人以下
その他→ 資本金や出資の総額が3億円以下 or 常に使用する従業員数が300人以下
上記の中小企業の定義以上の数字を有する企業が主な対象となり、中途採用の実績を公表する必要があります。
雇用保険二事業に係る保険料率の引き下げ
厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要」より引用
https://www.mhlw.go.jp/content/000591657.pdf
雇用保険の保険料率を、財政状況に応じてさらに引き下げられるようになります。
この雇用保険二事業とは「雇用安定事業」と「能力開発事業」のことです。文字通り、雇用や就職に関わることと、事業に対するスキルアップに関わることを指します。
2022年1月1日から適用される法律
複数の企業で働く65歳以上の人に雇用保険を適用
厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要」より引用
https://www.mhlw.go.jp/content/000591657.pdf
複数の企業に勤める65歳以上の労働者に対して、雇用保険の適用が可能になります。
今までは1つの会社で週20時間以上の所定労働時間がなければ対象になりませんでしたが、2つの会社の勤務時間を合算して週20時間以上になれば、雇用保険の申請が可能になりました。
注意しておきたいのは、3つ以上の会社に勤めていても、合算できる企業の数は2つまでであるという点です。また、本人からの申請がなければ適用されないので、そのあたりもきちんと把握しておきたいですね。
2025年4月1日から適用される法律
高年齢雇用継続給付の縮小
厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要」より引用
https://www.mhlw.go.jp/content/000591657.pdf
高年齢雇用継続給付の支給率を縮小することになります。
被保険者であった期間が5年以上の60歳~65歳未満で、60歳時点の賃金の75%未満の状態で働き続ける労働者に支払われる給付金です。60歳以降の賃金のうち、各月の15%分支払われていたものが、10%まで縮小されます。
例えば、60歳時点で月に20万円で働いていた人が、61歳時点で月14万円の賃金で働いていたとします。今までは14万円の15%分に当たる2万1千円受け取れたのが、10%分の1万4千円しか受け取れなくなるということですね。
まとめ
2021年(令和3年)4月からの改正雇用保険法の適用にあたって、該当する内容や、今後順次適用される内容について解説しました。
今回取り上げたのは以下の5つです。
【2021年4月1日から】
・70歳までの就業機会を確保
・中途採用比率の公表を義務化
・雇用保険二事業に係る保険料率の引き下げ
【2022年1月1日から】
・複数の企業で働く65歳以上の人に雇用保険を適用
【2025年4月1日から】
・高年齢雇用継続給付の縮小
内容と適用期間をよく確認して、求職者にとって最適な採用情報が公表できるといいですね。今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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ライター:野倉